研究_中国・梅州の囲龍屋調査

10月11日(金)〜15日(火)に中国・梅州の囲龍屋調査に行ってきました。
この調査は、富山国際大学の浦山先生が研究代表者である、科研基盤B「琉球の近世計画村落形成に伝統的祭祀施設と村抱護が果たした役割と意味に関する研究」(研究課題番号:25289212)の一環で行われました。
「囲龍屋」とは、客家の伝統的住居で、福建土楼などとの共通性が多く、住居背後に巨大な龍が囲むように配置される特徴的な形態を持っています。中央には「化胎」という半円形をした中庭が鎮座しており、背後の山から流れる「気」がこの「化胎」を通り、前面にある同じく半円形の池まで流れるといわれています。
梅州にはこのような民居が多く点在しており、2日間という短い間でしたが網羅的に内部まで見ることができました。
沖縄の集落との共通性について一概には言えませんが、東アジアには、「囲む」あるいは「抱く」という環境観の共通性が指摘できるのではないかと感じました。
沖縄の近世村落の形成原理を知るためには、やはり東アジア、さらには東南アジアの集落空間を巡る必要があると強く感じた旅でした。

ところで、梅州は嘉応大学の客家研究院という客家研究の拠点施設があり、そこで開催されたシンポジウム「国際移民客家文化学術研究会」への参加が今回のもう一つの目的でした。ここでは我々の研究チームから、河合洋尚氏(国立民族博物館)、 Chen Bixia(国連大学)の2名が発表しました。客家と沖縄の関係性にまで踏み込んだ大変興味深い発表でした。

今回のシンポジウムや調査では、嘉応大学の方々や古老(客家)に大変お世話になりました。特に中国の集落調査はこのような協力者の存在が不可欠です。本当にお世話になりました。
そして、今回のもう一つの収穫は、広州の中山大学との学術的なネットワークを構築することができました。
短い調査期間でしたが、大変充実した調査となりました。